熱中症を予防するには、患者さんも看護師も、熱中症になりやすい年齢、状況、着衣の状態などについて十分理解しておく必要がある。熱中症にかかったりそれによって死亡に至るリスクが高いのは乳幼児で、その後は死亡率は低くなるが、中学生や高校生、50代以降に熱中症で死亡する人が多くなっている。熱中症になりやすい時期は、梅雨が終わって急に気温が上がる7月だ。体が暑さに慣れていないため、対応しきれずリスクが高まる。8月は高温の日が続くため、やはり熱中症になりやすいといえる。状況としては、乳幼児の場合は、高温になった車内に放置された、バギーに乗せられ道路の輻射熱にさらされたなどが挙げられる。中学生や高校生は運動中に、中年になると仕事中やスポーツをしているとき、高齢者は家の中でというケースが多い。
スポーツの場合は、屋外で活動する時ばかりでなく、バドミントンなどのように、屋内でも風の影響を受けないように窓を閉め切った状態で行うスポーツでも熱中症になりやすいといえる。また、剣道のように体全体を覆って競技するものも衣服の中が高温多湿になるため熱中症のリスクが高まるのだ。高齢者の場合、昼間でも節電のため、あるいは冷房は体に悪いといった意識から、暑い部屋で過ごすことがある。昼間の熱が夜までこもっているという状況の中で寝ていると、いつの間にか熱中症になってしまうケースも発生している。熱中症は暑さだけでなく、いろいろな要素が関係して引き起こされるということを覚えておく必要があるだろう。